千葉大学融合理工学府基幹工学コース修士2年
安田裕貴 YASUDA Hiroki (72回生)
大学という場所は、自分の「好き」や「不思議」をどこまでも掘り下げられる自由な場所です。私が今取り組んでいる研究や、これまでの学生生活で得た気づきが、皆さんの進路等への一助になれば幸いです。
私は現在、修士課程の2年目として「生物はなぜ効率よく飛べるか」を工学的な視点から研究しています。「生物模倣」という言葉を聞いたことがありますか? 実は私たちの身近なところに、生き物の知恵が隠れています。例えば、ヨーグルトの蓋は,蓮の葉の構造を真似ることで、中身がくっつかず綺麗に剥がれるようになっています。他にも、サメの肌を模した素材を飛行機の機体に貼って空気抵抗を減らしたり、新幹線のノーズをカワセミのくちばしの形に似せて騒音問題を解決したりといった例があります。
何億年という進化の過程で磨き上げられてきた生き物たちの技術を学ぶ毎日は驚きに満ち溢れています。それらを工学に応用することで、人々の生活をより良く、効率的にしていく一端を担えることに、大きなやりがいと楽しさを感じています。
高校時代、私は硬式野球部に所属していました。杉森先生の厳しいノックを受けていた光景は、今でも月に一度は夢に見るほど心に深く刻まれています。あの頃、同じ目標を追いかけ、仲間と過ごした濃密な時間は,今でも時折懐かしく、また恋しく思い出されます。
大学では、9年間続けてきた野球に区切りをつけ、新たに「学生フォーミュラ」という活動に4年間没頭しました。これは自動車部とは異なり、学生が自分たちで一からフォーミュラカーを設計・製作するプロジェクトです。
学生フォーミュラ公式サイト: https://www.jsae.or.jp/formula/student-formula/about/
大学の講義で学んだ理論を、実際の「ものづくり」の場でアウトプットできるこの活動は、私にとって非常に貴重な場となりました。教室の椅子に座っているだけでは決して学べない、泥臭くも知的な刺激に満ちた日々を過ごしました。私はここで、目に見えない空気の流れを制御して力に変える「エアロデバイス」の開発を担当しました。工学系や車に興味がある方は、ぜひ進路の選択肢として検討してみてください。
大学院に入ってからは、縁あって文科省の「トビタテ!留学JAPAN」という制度を利用し、半年間イギリスへ研究留学しました。この奨学金は、今では富山県の高校生向けにも枠が拡大されているようなので、興味がある人はぜひチェックしてみてください。
私の留学体験談:https://tobitate-mext.jasso.go.jp/zukan/detail-3479
トビタテ!留学JAPAN(富山県枠): https://www.pref.toyama.jp/1119/global/20251017.html
入学直後にコロナ禍が始まり、一度は諦めかけた留学でしたが、大学院というタイミングで行けたことは結果として正解でした。工学・生物・英語という三つの要素を掛け合わせて勝負できたことが、良い結果に繋がったのだと感じています。とはいえ、語学に関しては日本で英検1級を取得して自信を持って臨んだつもりでしたが、現地の日常生活や専門的な議論の中では、自分の未熟さを痛感する場面が多々ありました。しかし、あえて居心地の悪い場所、挑戦が必要な場所へ身を置き、たくさん失敗を経験し(Fail fast!!)、そこから多くのことを吸収することができたと思います。
また、外から世界を見ることで得た大きな気づきがあります。よく「北欧の生活は理想的だ」とか「イギリスの医療は優れている」といった断片的な情報が称賛されますが、実際に現地で生活してみると、どの国も固有の深刻な問題を抱えている現実が見えてきました。隣の芝生は青く見えるものですが、それらを鵜呑みにせず自分の置かれた環境で工夫し最善を尽くし続ける事が大切だと学びました。
最後になりますが、在学中にご指導いただいた先生方に、この場を借りて深く御礼申し上げます。先生方の教えが、今の私の土台となっています。
砺波高校の皆さんの未来が、素晴らしい挑戦に満ちたものになるよう、応援しています!